- 2008年11月25日 12:57
- 版画雑記
新日本造形で入手したウォーターグランド。
エアブラシ・アクアチントに大活躍です♪
(前回の記事はこちら)
普通のエッチングのグランドとしては、とーっても使いづらいんですが、アクアチントに使うには大変便利!!
「塩化第二鉄や塩水では落ちないのに、水で簡単に落ちてしまう」という珍しい特徴を持ったこのウォーターグランド。
最初は水で落ちてしまうのは欠点だととらえていましたが、逆に「ちょっとだけグレーにしたい部分がある」時などは、伝統的な松脂を使ったアクアチントのように、いちいち熱したりせずにすむ。落とすのにも臭いアルコールを使わないでもすみます。
問題は「硝酸でアクアチントがかけられない」事です。
エコとか健康上の観点からノン・トクシック技法(非有害技法)を行っている工房などでは、もう硝酸を使わなくなってきていますが、どうしても硝酸を使う必要が出てくるのは、実は「薄く均一なアクアチントをかける」時です。
塩化第二鉄のアクアチントは、すぐに濃い調子になりがち。また、腐蝕した広い面から沈殿物が発生するので、ブツブツがでたりとか、均一な調子を作るのが難しいのです。
さて、エアブラシを使って硝酸でも耐えうる樹脂グランドがないかなあと、新しいアクリル系のグランドを購入してみました♪
Z*ACRYL HARDGROUND EMULSION
京都の版画工房さんで取り扱っているグランドです。
その他、アクリル樹脂で使えそうな、床用ワックスも購入してみました。(もし使えなかったら、本来の用途で使えるし。(笑))
早速両方使ってみます。(床用ワックスは、見やすいように青いアクリル絵の具を混ぜてみました。)
・・・うーん。
空圧の調整が難しいっ!!
どちらも、銅版から「タラタラ」と垂れてしまいます。圧を最小にすると、今度は粒が大きすぎたりとか・・・。
粘度がもう少しあると垂れないんですよね。新日本造形社の「ウォーターグランド」ではうまくいったのですが・・・
また、どちらも薄く青い着色がされているのですが、銅版にスプレーされているのかどうか、すごく見づらい!!
もっともこれは新日本造形社の「ウォーターグランド」でも同じです。回りの紙についたスプレーを見て判断するしかないですね。
硝酸に入れてみます。
・・・・・
ちょっとした加減でスプレーしすぎた所は腐蝕せず、真ん中辺はうまくいっている模様です。
・・・・・
5分ほどで、真ん中の樹脂の粒子は飛んじゃいました。(爆)
いやー、慣れがひつようですな、コレ。
さて、水洗いして、このアクリル樹脂を取り除くのが大変です。
まず、試しに床用ワックスを剥がす「剥がし液」に浸けてみました。
・・・・びくともしません。
次に、「10%の炭酸ナトリウム水溶液」に浸けてみます。
・・・・びくともしません。
次に「アンモニア水」に浸けてみます。
・・・おお!!
ようやく青い汁が溶け出しました。
し、しかし、アンモニア水って、鼻が曲がりそうに臭いです。(-_-;)
もちろん、アトリエにある4つの換気扇全開で使ってます。
使用説明書を読むと、「人体に害毒だから、決して吸引するな」とあります。ううっ!コレって確か、ノン・トクシック技法じゃなかったっけ・・・。(-_-;)
とりあえず、ちゃんと樹脂の層が取り除けたか、確認のために硝酸にそのまま版をつけてみます。(銅の面が露出していたら、すぐに泡が噴き出すはず。)
・・・・
全然泡が立ちません!!(-_-;)
つまり、樹脂の層が取れてないっ!!
臭い思いをした割には効果無しか・・・。このグランドも床用ワックスも、取り除くのがすごーく大変だということは良くわかりました。(^^;)
水洗いして、サンドペーパーを全体にかけて、再び硝酸に入れてみたら、ようやく泡が立ちました。
ただ、これはテスト版だからいいけれど、エッチングの線の凹凸がある場合などは、溝にこの樹脂が詰まってしまう恐れがありますねえ・・・。
アクリル絵の具用の剥離剤を使ったり、この樹脂グランドを販売している所でも剥離剤を売っているようですが、いちいちそれを使うのも割高だしなあ・・・。難しいですね。
自分の作品を作る時は、長時間液に浸けて取り除いたりできるけど、短時間の教室での制作ではちょっと不向きかも、でした〜。
- Newer: スピットバイト・アクアチント
- Older: 雁皮を染める