銅版画
エッチング
D.ディープエッチング
腐蝕銅版画での小技集、第2弾です!
銅版画は腐蝕液を使うことによって、
筆で描いたちょっとしたタッチなどで、あたかも彫金のような深い凹凸を作る事が出来ます。
この「ディープエッチング」の技法も実はとっても簡単なのですが、
銅版ならではの金属の層を感じることができて、いろいろ応用の効く技法です。

銅版に黒ニスで市松模様を描き、ディープエッチングした版。

その版に、グランドを塗ってエッチングで描画。試し刷りしたもの。
この作例は永沼版画アトリエの受講生の方の作品を使わせていただきました
ディープエッチングって?
■ディープエッチングの原理
ディープエッチングとは、普通のエッチングやアクアチントのように、版に凹凸のざらざら面を付ける事によって黒い調子をだそうというのではなくて、ただ単に「ざーっと」深く、広い面積を腐蝕して彫ってしまおう!という技法です。
腐蝕された面は、最初の銅版の面より1段深く彫り下げられます。
そこにインクをつめると、エッジの部分は深さに応じてインクがひっかかります。
■掘り下げられた部分はグレーになる
また、ざーっと真平らに彫り下げられた部分は、アクアチントが軽くかけられたような薄いグレーの油膜がつきます。
これは、銅を彫り下げると銅の繊維(?)のような筋が少し出てくるため、最初の銅版の面よりもすこしグレーっぽくなるのです。
銅の腐蝕の深さに合わせて、刷りとる紙の方も刻印されへっこみますから、この技法はかなりインパクトのある強い調子になります。
ディープエッチングを使うと、写真で言うソラリゼーションのような効果を出すことができます。

やってみよう!ディープエッチング
さて、実はディープエッチングはとっても簡単!
彫り下げたくないところを黒ニスで止めます。そして・・・あとは腐蝕液に突っ込む!!たったこれだけ。
作例は、銅版に黒ニスを筆で描画し、先にディープエッチングをしたあとにグランドを塗って描画したものです。黒ニスも、わざと薄めに白ガソリンで溶いて塗っているので、ところどころ思いがけなく腐食してしまった偶然の汚しの調子があり、それを画作りに利用しています。
ディープエッチングのエッジの所を深くするためには、だいぶ長時間腐蝕液に浸けておかなくてはいけません。何分、というより何時間、ていう感覚です。
自分の作品で、どのような効果が出したいのか、どの場所にどのくらいの深さが適切なのか、よ〜く考えてから行ないましょう。

黒ニスで描く他、グランドを塗った銅版を
スクレッパーなどできれいに
広い面積こそげるようにしても
ディープエッチングになる
■応用編
1.ただ黒ニスで止めるだけでなく、ガソリンで溶いたマジックインクなどをたらしたり、松やにを部分的に撒いて加熱してから、腐蝕液につける。
この作例では、予め枝はエッチングで描いて腐蝕してあります。白い枝のような形はエッチングの枝とともに黒ニスで描画し防蝕します。
銅が広く空いているところに、マジックインキをたらし、松脂の粗撒きをして、熱して定着させます。そして腐蝕するとこういう感じになります。

中込洋子 作品部分
2.ある時間腐蝕したら、いったん水洗いし、また黒ニスで描き足して、また腐蝕を繰り返す.
半円の盃のような形は一番外側の周りを黒ニスで覆い、一時間くらい腐食します。(その時、盃の中の丸い形も描いてあります)
次に、二番目に外側のところを黒ニスで覆い、丸い形も描き足します。更に一時間腐蝕。
これを3回繰り返すと、銅版の段差によってこのような効果が生まれます。

ディープエッチングが終わった状態の版と試し刷り
ディープエッチングは最初の作業.
ディープエッチングは長時間の腐蝕なので、エッチングやソフトグランド、アクアチントといった作業はその後になります。(せっかく描いた線がきえてしまいますから)
この作例の場合は、ディープエッチングのあとに鉛筆エッチングをしています。(色は雁皮を染めて刷ったもの)
また、このディープエッチングを利用した1版多色刷り・ヘイター法というのも有名です。
ヘイター法については、刷ってみよう!C.1版多色刷りを参照してくださいね〜
3.レリーフ制作.
銅版は厚さ0.8ミリの薄い金属板ですが、ディープエッチングやマチエールをつけ、サンドペーパーで研磨することで立体的な効果が出ます。
この作例は四角い形と文字の部分を黒ニスで止めデ、ィープエッチングして凹凸をつけた後、マジックインクによる解墨効果、ひび割れマチエールをつけました。
その後、レリーフを作る目的だったので、「銅版いぶし液」につけて銅版を黒くし、細い目のサンドペーパーで磨き、出っ張っているところが浮き出すようにします。
最後に錆止め、艶出しの油性ニスをスプレーして出来上がり!
ちなみにこれは立体作品の題名プレートに使いました。
表札プレートなど制作してみたら楽しいですよ〜

中込洋子 レリーフ作品
D.ディープエッチング
銅版画は腐蝕液を使うことによって、
筆で描いたちょっとしたタッチなどで、あたかも彫金のような深い凹凸を作る事が出来ます。
この「ディープエッチング」の技法も実はとっても簡単なのですが、
銅版ならではの金属の層を感じることができて、いろいろ応用の効く技法です。
銅版に黒ニスで市松模様を描き、ディープエッチングした版。
その版に、グランドを塗ってエッチングで描画。試し刷りしたもの。
ディープエッチングとは、普通のエッチングやアクアチントのように、版に凹凸のざらざら面を付ける事によって黒い調子をだそうというのではなくて、ただ単に「ざーっと」深く、広い面積を腐蝕して彫ってしまおう!という技法です。
腐蝕された面は、最初の銅版の面より1段深く彫り下げられます。
そこにインクをつめると、エッジの部分は深さに応じてインクがひっかかります。

また、ざーっと真平らに彫り下げられた部分は、アクアチントが軽くかけられたような薄いグレーの油膜がつきます。
これは、銅を彫り下げると銅の繊維(?)のような筋が少し出てくるため、最初の銅版の面よりもすこしグレーっぽくなるのです。
銅の腐蝕の深さに合わせて、刷りとる紙の方も刻印されへっこみますから、この技法はかなりインパクトのある強い調子になります。
ディープエッチングを使うと、写真で言うソラリゼーションのような効果を出すことができます。

さて、実はディープエッチングはとっても簡単!
彫り下げたくないところを黒ニスで止めます。そして・・・あとは腐蝕液に突っ込む!!たったこれだけ。
作例は、銅版に黒ニスを筆で描画し、先にディープエッチングをしたあとにグランドを塗って描画したものです。黒ニスも、わざと薄めに白ガソリンで溶いて塗っているので、ところどころ思いがけなく腐食してしまった偶然の汚しの調子があり、それを画作りに利用しています。
ディープエッチングのエッジの所を深くするためには、だいぶ長時間腐蝕液に浸けておかなくてはいけません。何分、というより何時間、ていう感覚です。
自分の作品で、どのような効果が出したいのか、どの場所にどのくらいの深さが適切なのか、よ〜く考えてから行ないましょう。


黒ニスで描く他、グランドを塗った銅版を
スクレッパーなどできれいに
広い面積こそげるようにしても
ディープエッチングになる
この作例では、予め枝はエッチングで描いて腐蝕してあります。白い枝のような形はエッチングの枝とともに黒ニスで描画し防蝕します。
銅が広く空いているところに、マジックインキをたらし、松脂の粗撒きをして、熱して定着させます。そして腐蝕するとこういう感じになります。

中込洋子 作品部分
半円の盃のような形は一番外側の周りを黒ニスで覆い、一時間くらい腐食します。(その時、盃の中の丸い形も描いてあります)
次に、二番目に外側のところを黒ニスで覆い、丸い形も描き足します。更に一時間腐蝕。
これを3回繰り返すと、銅版の段差によってこのような効果が生まれます。

ディープエッチングが終わった状態の版と試し刷り
ディープエッチングは長時間の腐蝕なので、エッチングやソフトグランド、アクアチントといった作業はその後になります。(せっかく描いた線がきえてしまいますから)
この作例の場合は、ディープエッチングのあとに鉛筆エッチングをしています。(色は雁皮を染めて刷ったもの)
また、このディープエッチングを利用した1版多色刷り・ヘイター法というのも有名です。
ヘイター法については、刷ってみよう!C.1版多色刷りを参照してくださいね〜

銅版は厚さ0.8ミリの薄い金属板ですが、ディープエッチングやマチエールをつけ、サンドペーパーで研磨することで立体的な効果が出ます。
この作例は四角い形と文字の部分を黒ニスで止めデ、ィープエッチングして凹凸をつけた後、マジックインクによる解墨効果、ひび割れマチエールをつけました。
その後、レリーフを作る目的だったので、「銅版いぶし液」につけて銅版を黒くし、細い目のサンドペーパーで磨き、出っ張っているところが浮き出すようにします。 最後に錆止め、艶出しの油性ニスをスプレーして出来上がり!
ちなみにこれは立体作品の題名プレートに使いました。
表札プレートなど制作してみたら楽しいですよ〜

中込洋子 レリーフ作品