銅版画
ドライポイント
A.道具編
ドライポイントに必要な道具
銅版
銅版。これが無くては話になりません。版画に使う銅版は、厚さ0.8mmの物が適当と思います。
画材屋さんであらかじめ適当な大きさに切ってあるものを購入したり、ネット通販で好みの大きさにカットしたものを購入できます。
大きな銅版を作る人や、沢山作品を作る人は、1m20cmの長さで、36cm、45cm、60cmなどの幅の銅版を買い、銅版切りで切ります。右の写真は、画材屋さんで裁断してもらった物です。
買った銅版は、制作前の準備に必ず「プレートマーク落とし」をしてから使います。(次ページ以降参照)
銅版切り。別名「ひっかき」
銅版を裁断するのに使います。版に定規をあてて、裏表両側に十分切れ込みをいれ、机の角などに版をあててから曲げてポキッと切ります。が、まだ十分でないときに曲げようとすると版が曲がって戻らなくなってしまうという悲劇がおこります。結構しつこく切れ込みを入れないとポキっと折れません。
予めサイズが分かっているなら裁断加工済みの銅版を入手したほうが失敗ありません。
金ヤスリ
金物屋で売っている金のヤスリ。銅の四辺を45度に落とす(プレートマークを落とす)のに使います。
ベルトサンダー
太い輪になったサンドペーパーが回転する工具。プレートマーク落としに使います。大作だと金ヤスリで手動で落とすよりだいぶ早くて楽です。
クランプ
プレートマークを削るとき、これで銅版を机に押さえておくと疲れないで す。
フエルトの切れ端
クランプで銅版を押さえる時に銅を傷つけるのを防ぎます。
金属みがき(ピカール)
これも金物屋さんで買えます。銅の細かい傷や錆を取り、ピカピカに磨くのに使います。液状の物のほか、チューブに入った固練りの物もあります。
磨き棒
フエルトをタコ糸でしばったもの。これにウエスを当てて、銅版をピカールで磨くと力が入りやすい。
ポイント
描画するための金属の針です。
丸砥石とミシン油
ポイントを研ぐために使います。
バニッシャー、スクレッパー
写真は「三角スクレッパー、バニッシャー」といって、削る役目のスクレッパーと磨く役目のバニッシャーが合体しているものです。
スクレッパーは、銅を削る、刃のカタチをした工具です。ドライポイントの場合は、銅版を引っ掻く事によって出来た「バー(金属のめくれ)」を、この刃で削って調子を整えたりするのに使います。
バニッシャーは、磨くことにより調子を整えたりするためのヘラの様なカタチをした工具です。細かい傷を磨いて真っ白な調子にする時に使います。
もちろん絵そのものにも使えますが、永沼版画アトリエではこの三角スクレッパーを、プレートマークのヤスリ目をツルツルに整えるのに使います。ツルツルにしたプレートマークは、ウエスでさっと拭くだけでインクが取れて大変きれいに刷ることができます。
絵そのものの調子を整えるのに使う道具は、道具を手作り(手作りスクレッパーやバニッシャーの項目)をご覧ください。
三角スクレッパーの部分(削る役目)
バニッシャーの部分(磨く役目)
カーボン紙、トレーシングペーパー
下絵を銅版に転写するのに使います。
ベビーパウダー
トレースしたカーボン紙の線をこすっても取れないようにパウダーを振りかけます。その他に、ベタベタするグランドに振りかけたりして使えます。もちろん、ベビーパウダーではなくて、リトグラフ用のタルクでもOKです。
紙やすり
〜80位の目の荒いものと、〜600番位中程度のもの、〜1500番位の目の細かいもの。3種類位そろえましょう。
ドライポイントの調子を整えたり、逆に粗目のものを使って、わざと銅版に傷をつけて効果を出したりするのに使います。
また、ポイントの先が鈍ったときは、細かいサンドペーパーを使って研ぐことも出来ます。本当は砥石を使うのですが、サンドペーパーでも大丈夫!
溶剤やポロ切れ(ウエス)など必要なもの
道具百科 溶剤とその他の必要な道具に詳しくまとめてありますのでご覧ください。・・・・版をつくるだけならば!
刷れる場所を探そう!
銅版画を刷るときには、「プレス機」というものが絶対に必要になります。
しかし、プレス機は、個人で簡単に購入するわけにはいかない代物です。
刷りが出来る場所探しをしましょう。
また、小さいサイズの卓上プレスを購入するのも手です。
詳しくは道具百科 紙とプレスの話参照