銅版画
刷ってみよう!
D-2.見当の付け方
ずれてしまうと、「版ずれ」といってぶれぶれの絵になってしまいますね〜。
そこで版と紙を正しく合わせるために「見当」を付ける必要があります。
見当を正しく合わせる、これって結構大変な事です。
浮世絵師などその道のプロフェッショナルな方は、ものすごい精度で見当を合わせられるようですが、まあ、初めての方ではうまくいかないことでしょう。
特に、銅版はものすごいプレス圧で、しかも紙を湿した状態で刷りますので、1回目のプレスによって、紙はローラーの移動方向にかなり伸びてしまいます。
上手に版ズレを起こさずに刷るには、やはりある程度の経験、慣れが必要です。
最も手軽な、銅版の大きさを見当に書いておく方法
■紙に銅版の大きさを書く
銅版の大きさを白い薄手の紙などに書いておき、それをプレスの上に置いて、銅版の大きさを合わせて刷り合わせる方法です。プレートマークを奇麗にしておく必要はありません。
紙に銅版の大きさを書いておく
■外枠の四角に銅版を合わせて刷る
4点見当に比べると多少精度は落ちますが、それほどズレにシビアではない場合はこれで十分でしょう。
見当を塩ビ版の下にセットし、
銅版を四角の見当に合わせる
■刷る紙をプレスのローラーから抜かないように注意
ここでのポイントは「刷りが終わるまで紙をプレスから抜かない」こと。四角の見当に予め拭き上げておいた銅版を順番に交換して刷っていきます。
もう少し正確な「4点見当」の方法
版のサイズが大きい場合、小品に比べて紙の伸び率があがります。その場合は4点見当にして「版の中心合わせ」にするといくらか片方にはみ出すようなズレがおさまります。
■プレス機の鉄板の上に敷く下敷き用の紙の準備をします。
版の縦横の辺の中心線を書いておきます。
この中心線の位置を銅版のプレートマークに印をつけておいて、見当として使うわけです。
アニメに使うフィルム等ですと湿気で伸びないのでより正確です。
このような見当を書いたフィルムを
プレスに置く。
中心線は、色版を刷るとき
正確に位置を決めるのに必要。
版の中心線を書いておく
■仕上がった墨版(主版)に見当をつけます
用意したフィルムの上に銅版を置きます。
そして、ポイントをつかって、プレートマークの各変の中心線の位置に点を打って見当をつけます。4つの点を打つ事になります。
このやり方だと、墨版はあらかじめプレートマークをきれいにつるつるにしておかなくてはいけません。
版を
見当フィルムの
上に置く
銅版にうつ
見当の点の位置
■墨版の絵柄をトレースします
墨版の上に、先程の見当フィルムをかさね、プレートマークの見当とフィルム上の中心線がぴったりになるよう確認し、マスキングテープなどで固定します。
絵柄をトレースするフィルムは、プレス上に置いて刷るときに使うものとは別の物を用意してもOKです。
ただし、刷るときに使うものと、中心線がずれないように、上下を間違えないように注意したほうがいいです。
フィルムに墨版の絵柄が透けて見えるので、これをボールペンやサインペンなどでトレースします。もちろん、色版を作る上で必要な絵柄だけで良いですよ〜。
■色版に墨版の絵柄をトレース
あらかじめ必要な数の色版をプレートマーク削り、表面をピカールで磨くなどして準備しておきます。プレートマークには見当をつける必要があるので、これもあらかじめきれいにしておきましょう。
色版の上に、先程墨版の絵柄を写し取ったフィルムを重ねます。
版の4辺がだいたい墨版と同じ位置に来るようにします。この時、銅版とフィルムの間にカーボン紙をはさんでおきます。カーボン紙は、文房具屋さんなどで売っているものでOK!
そして、マスキングテープでフィルムと版を固定したら、まず、色版のプレートマーク上にフィルム上の中心線の見当をポイントで印をつけます。もちろん、フィルムの上からぐさっ!!とさすのです。
そののち、絵柄をフィルムの上からボールペンなど固い筆記具でなぞります。カーボン紙によって、銅版上に絵柄がトレースされます。
この時、かならず「絵柄のトレース」と「プレートマークの見当打ち」は一緒に行なうようにして下さい。別々に行なうと、どうしてもずれてしまったり、フィルムの上下を逆さにしたりなどトラブルの原因になります。
さて、このままだと、銅版上に転写されたカーボン紙のインクは手でこすったりすると取れてしまいます。タルクやベビーパウダー(赤ちゃん用のでOK)をふって、軽くなじませて置きましょう。これでこすった位じゃ落ちないようになります。
あとは、トレースした線に合わせて、黒ニスを塗ったり、アクアチントをかけたりして製版をするだけです。
刷りで必ずや起こるハズ・・・のトラブルについては、次のF.色版を刷ってみる!で詳しく書いてあります。
色版を乾かしてから墨版を刷る場合
■色版を刷った紙の裏に見当を書いておく
色版から墨版まで一気に刷ると、どうしても紙に刷られたインクが次の版に付いてしまう(つまり、紙に刷られたインクが薄くなってしまう)。墨版を刷るときには紙が色インクでベタベタになっているので、刷りがイマイチになる。…という欠点があります。
そこで、墨版の刷りを良くするために、いったん色インクを刷ったら水張りをしてインクを完全に乾かし、また紙を湿し直して墨版を刷ることがあります。
この場合は、いったんプレスから外した刷り紙を、再び見当に合わせるために、色版の印刷が終わった段階で、紙の裏などに鉛筆で中心線を書いておく方法が手軽です。
右の写真の青い丸印の部分に、見当の紙に書いておいた中心線の印をつけておき、次回墨版を刷る時にはその印を見当にして合わせます。
インクをどのくらいの期間乾燥させるかですが、生乾きの時(3,4日)だと、紙が墨版に貼り付いてしまって取れなくなることがあります。完全に乾くには1〜2週見ておいたほうが良いでしょう。(作品の色版の厚み、重なり方による)
上の作例は2版刷り。
1版目の色版を刷った所
色版が刷れたら、紙をめくる前に
鉛筆で中心線の所に印をつける
その他の見当
ちなみに、上で説明した見当の付け方は、あくまで一例です。
この他にも
- 「とんぼ」という器具を使用する
使用する銅版をすべて重ねて、細いドリルで穴を二つ開けておく。1版目を刷った後、プレス機から一旦紙を外し乾燥させる。刷りとられた画面にドリルの穴が見えるので、それに合わせて「とんぼ」(棒に画鋲のピンが二つささったようなもの)を紙の裏から刺し、2版目以降の版に紙をセットする。
- 木版やリトグラフでは「かぎ見当」
画面の右か左に見当の印を彫ったかぎ型の板をあて、それに合わせて紙をセットしながら刷っていく
・・・などなど、いろいろな見当の付け方があります。
ここでのポイントは「刷りが終わるまで紙をプレスから抜かない」こと。四角の見当に予め拭き上げておいた銅版を順番に交換して刷っていきます。
版のサイズが大きい場合、小品に比べて紙の伸び率があがります。その場合は4点見当にして「版の中心合わせ」にするといくらか片方にはみ出すようなズレがおさまります。
版の縦横の辺の中心線を書いておきます。
この中心線の位置を銅版のプレートマークに印をつけておいて、見当として使うわけです。
アニメに使うフィルム等ですと湿気で伸びないのでより正確です。
このような見当を書いたフィルムを
プレスに置く。
中心線は、色版を刷るとき
正確に位置を決めるのに必要。
版の中心線を書いておく
用意したフィルムの上に銅版を置きます。
そして、ポイントをつかって、プレートマークの各変の中心線の位置に点を打って見当をつけます。4つの点を打つ事になります。
このやり方だと、墨版はあらかじめプレートマークをきれいにつるつるにしておかなくてはいけません。
版を
見当フィルムの
上に置く
銅版にうつ
見当の点の位置
墨版の上に、先程の見当フィルムをかさね、プレートマークの見当とフィルム上の中心線がぴったりになるよう確認し、マスキングテープなどで固定します。
絵柄をトレースするフィルムは、プレス上に置いて刷るときに使うものとは別の物を用意してもOKです。
ただし、刷るときに使うものと、中心線がずれないように、上下を間違えないように注意したほうがいいです。
フィルムに墨版の絵柄が透けて見えるので、これをボールペンやサインペンなどでトレースします。もちろん、色版を作る上で必要な絵柄だけで良いですよ〜。
あらかじめ必要な数の色版をプレートマーク削り、表面をピカールで磨くなどして準備しておきます。プレートマークには見当をつける必要があるので、これもあらかじめきれいにしておきましょう。
色版の上に、先程墨版の絵柄を写し取ったフィルムを重ねます。
版の4辺がだいたい墨版と同じ位置に来るようにします。この時、銅版とフィルムの間にカーボン紙をはさんでおきます。カーボン紙は、文房具屋さんなどで売っているものでOK!
そして、マスキングテープでフィルムと版を固定したら、まず、色版のプレートマーク上にフィルム上の中心線の見当をポイントで印をつけます。もちろん、フィルムの上からぐさっ!!とさすのです。
そののち、絵柄をフィルムの上からボールペンなど固い筆記具でなぞります。カーボン紙によって、銅版上に絵柄がトレースされます。
この時、かならず「絵柄のトレース」と「プレートマークの見当打ち」は一緒に行なうようにして下さい。別々に行なうと、どうしてもずれてしまったり、フィルムの上下を逆さにしたりなどトラブルの原因になります。
さて、このままだと、銅版上に転写されたカーボン紙のインクは手でこすったりすると取れてしまいます。タルクやベビーパウダー(赤ちゃん用のでOK)をふって、軽くなじませて置きましょう。これでこすった位じゃ落ちないようになります。
あとは、トレースした線に合わせて、黒ニスを塗ったり、アクアチントをかけたりして製版をするだけです。
刷りで必ずや起こるハズ・・・のトラブルについては、次のF.色版を刷ってみる!で詳しく書いてあります。
色版から墨版まで一気に刷ると、どうしても紙に刷られたインクが次の版に付いてしまう(つまり、紙に刷られたインクが薄くなってしまう)。墨版を刷るときには紙が色インクでベタベタになっているので、刷りがイマイチになる。…という欠点があります。
そこで、墨版の刷りを良くするために、いったん色インクを刷ったら水張りをしてインクを完全に乾かし、また紙を湿し直して墨版を刷ることがあります。
この場合は、いったんプレスから外した刷り紙を、再び見当に合わせるために、色版の印刷が終わった段階で、紙の裏などに鉛筆で中心線を書いておく方法が手軽です。
右の写真の青い丸印の部分に、見当の紙に書いておいた中心線の印をつけておき、次回墨版を刷る時にはその印を見当にして合わせます。
インクをどのくらいの期間乾燥させるかですが、生乾きの時(3,4日)だと、紙が墨版に貼り付いてしまって取れなくなることがあります。完全に乾くには1〜2週見ておいたほうが良いでしょう。(作品の色版の厚み、重なり方による)
上の作例は2版刷り。
1版目の色版を刷った所
色版が刷れたら、紙をめくる前に
鉛筆で中心線の所に印をつける
ちなみに、上で説明した見当の付け方は、あくまで一例です。
この他にも
- 「とんぼ」という器具を使用する
使用する銅版をすべて重ねて、細いドリルで穴を二つ開けておく。1版目を刷った後、プレス機から一旦紙を外し乾燥させる。刷りとられた画面にドリルの穴が見えるので、それに合わせて「とんぼ」(棒に画鋲のピンが二つささったようなもの)を紙の裏から刺し、2版目以降の版に紙をセットする。
- 木版やリトグラフでは「かぎ見当」
画面の右か左に見当の印を彫ったかぎ型の板をあて、それに合わせて紙をセットしながら刷っていく
・・・などなど、いろいろな見当の付け方があります。