グランド作り♪

銅版画、特にエッチングに欠かせないのが防触剤である「グランド」です。
しっかり酸から守ってくれて、描画してもパリパリせず、べとつかないグランドが必要です。

このグランド、私はウォーマーで熱してローラーで伸ばすタイプの「固形グランド」を愛用しているのですが、最近は市販のものでなかなか満足のいくものが無くなってしまいました。

以前は、「文房堂の固形のハードグランド」というものがあり、使い勝手も良かったのですが製造中止になってしまいました。

そこで、ここ数年「新日本造形の固形のハードグランド」を使っていたのですが、少々熱しすぎるとピンホールが出るというトラブルがアトリエ生徒さんたちに続出。

溶けやすくてローラーで伸ばすのは楽な反面、ホコリ等が版面につくと、そこから流動的になりすぎたグランドがピンホールを作ってしまい、腐食したときにブツブツとなってしまいがちなのです。(ちょっとしたコツで回避できることはできるのですが)

グランドの成分は「アスファルト、松ヤニ、白蝋」を4:3:2で溶かして作ります。

この「白蝋」のかわりに「蜜蝋」を使うと、油脂分が多い分、溶けやすい反面上記のようなトラブルが多くなるのです。
白蝋の方が油脂分少なめでさっぱりしているそうです。

おそらく新日本造形社のハード固形は、蜜蝋を使っているようなのです。(ぜひ改善求むっ!!・・・・なんですが・・・。)

「そういえば学生時代は手作りしていたなあ・・・」と思い当たり、やってみました、手作りグランドっ!!

屋外でないと大変な臭いがしそうなので、秋晴れの今日を待って、早速作ってみました〜〜♪

まず、重量比で「アスファルト、松ヤニ、白蝋」を4:3:2であらかじめ量っておきます。

20101116DSCF1088.jpgアスファルトは軽い粉末なので飛び散らないように気をつけて・・・。

20101116DSCF1089.jpg松ヤニは溶けやすいようにあらかじめ金槌で細かく砕いておきます。

20101116DSCF1090.jpg白蝋です。

20101116DSCF1091.jpgここから屋外で作業します。まず、白蝋を溶かします。(ここではお古の鍋を使っています。)白蝋は溶けやすいのであっという間に液状になります。

20101116DSCF1093.jpg松ヤニを投入♪

20101116DSCF1095.jpg溶けてきました・・・。

20101116DSCF1096.jpgアスファルト粉末を投入!細かいので、飛び散らないようにするのが結構大変です。

20101116DSCF1097.jpgかき混ぜていると、だんだん溶けてきます。

20101116DSCF1098.jpgまだ少しダマがある状態。

20101116DSCF1099.jpg時間がかかりますが、このようにダマが無くなり液状になるまで熱します。

20101116DSCF1101.jpg滑らかに溶けたら火から鍋をおろし、少し粘度がある程度に温度がさめたら、28度くらいのぬるま湯を入れたバットの中にリボン状にグランドをたらします。

20101116DSCF1102.jpgこんな感じでプカプカ浮くくらいの細いリボン状にたらします。(沢山たらしすぎると、バットの底にへばりついてしまうので注意。)

20101116DSCF1103.jpg

20101116DSCF1104.jpg
水で濡らした手で、リボン状のグランドを集め、手早く「手打ちうどん」みたいに引っ張ったりまとめたりして水分を押し出し、棒状に成形します。(手を濡らさないとくっついて悲惨なことになるので要注意!)

20101116DSCF1100.jpgこのように棒状になったら、冷水にいれて固めます♪
固形グランドの出来上がり〜〜!(^0^)

固形を作ったら、鍋にへばりついた残ったグランドをホワイトガソリンで希釈して、液体グランドを作ります。(充分温度がさめたことを確認しないと引火して危険なので注意してください!)

20101116DSCF1105.jpgじゃ〜〜ん!!本日の収穫でーす。

固形を沢山作りすぎて、液体が思いの外少なかったですね〜。(^^;)

反省点は、固形をのんびり整形していたら、鍋の温度が冷めすぎて、液体を作るときにもう一回熱しなおさないとホワイトガソリンに溶けなかった・・・というトラブルがありました。

あと、ホワイトガソリンでは少し溶解力が足りなくて、なかなか溶けづらかったということもあります。今度作るときはリグロインを使おうかな。お値段が多少高上りになりますが・・・。

ともあれ、これだけあれば、5年(いや10年くらい?)は持ちそうな感じです。今度作るとき・・・なんて言ってもいつになるやら。(笑)

早速ローラーで試し塗りをしてみましたが、ピンホールもできなくて良い感じです!

いつもの「新日本造形のグランド」よりも溶けにくいので、グランド塗るときは、よーくウォーマーを余熱してから使ってくださいね、皆様♪

このグランド作りは、大学時代の恩師・深沢幸雄先生の技法書を参考にさせて頂きました。

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