3回目の発表会
今度のタイトルには「恐怖の」という枕詞がついてないのだ!
みなさまは「あがり症のkeroさんも、ついに発表会に慣れてきたのだろうか。あがらなくなってきたのだろうか!ブラボオ!!」・・・とお考えになることであろう。が、残念ながらそうではない。生まれついての度胸のなさは死ぬまで治らないみたいである。
過去、自分がコチコチに「あがる」状態を2度経験したことによって、その「あがる状態に慣れてきた」というのが正解。緊張している時、いかに普段の通りに弾けないか。あがったときに、どういった状態に自分が陥るのか・・・ということが経験的にわかってきたってわけ。故に、「どうせあがるんだもんね〜」と開き直ることにより、発表会の恐怖は若干やわらぎました。まあ、自分的には大変な進歩だと思っとりますが・・・。わははは。(^^;)
今回の発表会で弾く曲は、クライスラーの「シチリアーノとリゴードン」。とっても好きな曲なんだけどやっぱり難しい〜〜!特に後半のリゴードンの部分がテンポ早くって・・・。ぱりっと弾けたらかっこいいんだけどなあ。
聴いてください、こんな曲なのよ!
→クリック!(例によってMIDIファイルです)
どうしてこんな分不相応な選曲をしたのかはこちらを参照して頂くこととして、またまた自分なりに曲の難しい所を絞ってみる。
●「シチリアーノとリゴードン」のツボ●
1.シチリアーノのリズム
とってもきれいなメロディーで、譜面づらは見た目簡単そう。で、keroはシチリアーノはあまり練習せずにリゴードンばっかり練習していた。がっ、自分の録音を聴いてみたら、あまりに重たくて鈍重な感じだったので衝撃を受ける。
なんたってシチリアーノ(シチリア舞曲)なこの曲、8分の6拍子のリズム感がとっても大切だ。なのに、ポジ移動とかに気をとられすぎ、つい1音1音慎重になりすぎたのでリズム感が皆無だったのである。
色々試みた結果、自分で思っているよりもかなり強弱をつけないとリズム感って出ないのがわかった。故に、1小節目〜2小節目に例をとると、赤丸の付いたリズムの頭の音以外のところは、他の音(付点リズムの2個目3個目の音)よりも倍くらいの音量の「つもり」で弾かないと。弓配分も同じく大いに差をつけるようにする。といって、あまりガシガシ弾くような曲想ではないので、弓はたっぷり使って、音を上品に響かせて弾くようにする。
また、2小節目「#ら」がとっても難しい!ここはピアノの伴奏も同じ音があるので、はずすとすごーく音痴に聞こえるんだが、どうも低すぎたり高すぎたりして、なかなかツボにはまらないのだ。
あと、5小節目のシフトのところは、「スライド音を聴かせて、上がった『そ』の音は裏声で歌うように響かせるように」とのご指摘を先生から受ける。上手くいかない。なんだかソプラノ歌手がシャックリしたみたいな音になっちゃって。
本番では驚くべき事に、シチリアーノは「家で練習している程度には」ちゃんと弾けた。今まではこういうスローな、長い弓使いの曲は腕ブルが来ちゃって大変だったのに。ダウンの時「は〜〜っ」と息を吐いたりして呼吸を心がけたのが少しは効果があったのかしらん。(勢いよく息しすぎて鼻水が出ちゃったのがご愛敬だったが。)しかし、安心したとたんに次のリゴードンで・・・。
2.リゴードンの出だし
後半のリゴードン、出だし。1個だけダウンボウで弾く音が。
ここは、しっかり音が出ないと変なんだけども、強く弾きすぎても変。でも、ついテンポが上がってくると勢いで「ガリン」と弾いちゃったりして・・・。
2小節目のスタッカート部分は普通は「跳ばし」で弾くらしいが、keroは早々に諦めた。(爆)
本番ではリゴードンはボロカスだった。(^^;)つまづいたりはしなかったんだけど、スローなところから急に早いところに行ったとたんに、力入り過ぎちゃってゴリゴリに。テンポもちょっと遅かったのだが、それでも右手が固まっていたのか?指先が固まっていたのか?細かい弓の返しがぎくしゃくしちゃって、もお〜〜全然駄目でした。トホホ。
3.またもや、フォルテとピアノの繰り返し
この曲は正式?な題名は「フランクールの様式によるシチリアーノとリゴードン」。クライスラーは19世紀末〜20世紀初頭にかけて活躍したバイオリニストだが、作品を発表したときは「フランクールさんの未発表作品の楽譜が発見された!」とかなんとか言って(自分の作品であることは伏せて)曲を披露したとのこと。半ば洒落だったとか、ロマンチック過ぎる作風なので、まともに発表したらどうせけなされるに決まっているから、とか諸説あるのだが、それはもかく・・・・。
クライスラーが作風を真似たフランクールさんとは、バロック時代の作曲家らしい。よって、この曲にはバロック音楽特有の「フォルテとピアノの繰り返し」があるのだ!楽譜上では特にフォルテ、ピアノの表記はないが、上の譜面のように二度同じ事が繰り返されるときは当然フォルテとピアノで(というか、差をつけて)弾く。
ここでGmolの時も悩んだ、「いかにフォルテとピアノの差をつけるか」が問題に。先生曰く、ここはピアノと言っても弱い音ではなくてしっかりした音で弾くべし、とのこと。と言われても、なんだか良くわからない〜。
ずっと訳がわからなかったんだが、ある時おきらく銀太さんのページのGmolについてのレッスン記録を読ませていただいて、かなりイメージがつかめたような気がする。(Special Thanks!!銀太さん!)フォルテとピアノ、と言うよりは「近くのフォルテ、遠くのフォルテ」「2度目は前の音のエコー」としてとらえるべきという。なるほどっ!!だからこそ、同じようなしっかりした音で弾くべきなのね〜〜。
しかし、イメージがつかめたからっていって、弾けるようになるとは限らないものだ。(爆)本番じゃそこまでの表現を考えてる余裕がなかったなあ・・・。こういう早いテンポの曲は、「スビト・ピアノ」「スビト・フォルテ」が決まるのが、スッキリ聴かせられるカギですねえ〜。
4.舌を噛みそうな・・・
1本の指でD線とA線を2つ同時に押さえるのが苦手なので、こういう箇所は本当にイヤ〜〜ン。
トリルもあるし、ここのところは右手も超忙しく手首移弦の連続だ。さらに4連符の頭にアクセントを、とか、またもやフォルテとピアノの繰り返しが・・・とか考えてると、弾いてて舌を噛みそうになります、マジで。しかも、後半に似たような音型が。指がもつれちゃってヒイヒイ・・・・。
5.上がったり下がったり
こういう、音程が超難しくって、移弦だらけの箇所がこのほかにも2,3箇所。上がっていく所はともかく、上り詰めた音くらいはぴしっと決めたいものだ〜。だけど、これは3と4がくっつく苦手のパターンなのよ。短い小指を酷使して練習を重ねた結果・・・。
やっぱり最後までおんちでした。(^^;)
6.最後は打率2割5分
ここが最後のところ。rit.はかけずにさらりと力を抜いて終わる、非常に格好良い終わり方。ちゃんと弾ければなんだが。(^^;)
まあ、どうして2割5分なのかは図を見て頂くとして、最後のところはたとえ失敗しても涼しい顔をしてピチカートも堂々と大げさにやるべきですね〜〜〜。本番では、「やばい!!」「はずしちまった!!」と顔に出ちゃったもんで、なんだかスッキリしない終わり方になっちゃいました。
さて、今回はお教室を変わって初めての発表会。バイオリンの他に、フルート、ピアノ、ハープ、チェロなど色々な楽器が一緒の発表会で、大人の方も多数参加されていたので、大変興味深かった。
また、今まではワタシkeroだけがオバサンで、あとはみんな子供さんたち。子供さんはみんな堂々と弾いているのに、オバサンのkeroだけがあがりまくっているので、「いい歳こいて何やってんだ〜〜」って、自分が情けなかったんだが、どうも今回いろんな方の演奏を見ていたら、極端にあがったり緊張しすぎたりするのって、大人の方が多いみたいだ。おそらく、それは子供より大人の方が「恥」の概念があるからなのであろう・・・。
楽器別に見ると、ピアノやハープはやはり処理すべき音符が多いためか、「途中でど忘れして止まってしまう」「落ちたあとに復帰できない」パターンが多い。また、ど忘れして止まった途端に、手指が全く動かなくなってしまった、という現象もお見受けした。緊張は指とか手先にくるものなのね〜、やっぱり。
フルートの場合、リハーサルでは美しい音だったのに、本番ではなぜか音がカスカスしてしまった方がおられた。管楽器の事はよくわからないけれど、やっぱり一番生理的に緊張が出てしまいそうですよね、唇の形とか呼吸とか。
チェロやバイオリンなど弦楽器の場合は、途中でど忘れといった事はあまりないようなんだが、緊張が右手に出るタイプと左手に出るタイプがあるようだ。リハーサルの時はまあまあの音程で弾いていた方が本番でものすごい音程で弾いていたりするのは左手タイプ。でも、その方は弓使いなどは実に堂々としていたのである。また、keroのように、音程はおおざっぱにまあまあでも、弓がまったくコントロールが効かなくなる右手タイプもいるし。(^^;)
まあ、おそらく、普段から苦手としている部分が、一番緊張したとき弱点として出てしまうのであろう。ワタシkeroは右手かあ・・・。とりあえず今回は、シチリアーノがまあまあだったのが救いかしら。次回の課題は、より微妙な手や指のコントロールが、どんなにあがっても出来るようになること、かなあ〜。ともあれ、最初の頃よりは少しは進歩していることを信じたいものである。