再び恐怖の発表会

2003.07.28

2003年7月21日、keroは2度目の発表会を経験する。

前回の恐怖の発表会から約1年。緊張したりあがったり「弓ビブラート」がかかったりと、大変な経験をしているだけに、実はこの2回目の発表会、「はたして自分、少しは舞台慣れすることがあるのだろうか」という興味があったのである。思えば、あの最初の発表会の時、あれだけ緊張して頭真っ白だったのに「一応」落ちずに弾き通せたわけだし。さすがに2度目。ちょっとは前よりリラックスして弾けるんではあるまいか?

曲目はビバルディのト短調協奏曲Op.12-1、通称「ビバルディのGmol(げーもる)」、第3楽章。聴いてみてくださいな、こんな曲なのよ!(例によってkeroのナマバイオリンではなくMIDIファイルなので安心して聴いてね。)

→クリック!

だいぶ曲も難しくなってきたものだ〜。keroのトロイ運動神経ではついていけない所が満載だぞ。このくらい難易度が上がってくると、4分足らずの曲の中で、全てが満点というわけには決していかなくなる。自宅での練習でも、トリルはうまくいったが、ポジ移動で音をはずす、とか、あっちがうまくいけばこっちで失敗する・・・の繰り返しである。自宅でもそうなのだから、舞台の上では・・・?うひゃ〜〜、考え始めると恐ろしいっ!

とりあえずじぶんなりに曲の難しいところのポイントを絞ってみる。

●Gmol(第3楽章)のツボ●

1.フォルテとピアノの繰り返し


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この曲のテーマである4小節のフレーズが、フォルテとピアノで交互に繰り返されるこの形はバロック特有のものらしい。少しずつ変奏されて曲の中で何度も繰り返されるんだが、問題はこのフォルテとピアノの差ってどのくらいつければいいのか、だ。

簡単なようで案外難しい!差を付けようとあんまり音を弱くすると客席から聞こえなくなっちゃうし、ピアノでも響く音で、なんて考えるとフォルテとあんまり差がなくなっちゃって面白くないし・・・。要はフォルテを、もっと、アタックがしっかりとした張りがあってでっかい音で弾ければ良いんだが〜〜。

2.苦手なG線


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この曲でいっちばん難しいところ。タダでさえG線の音がきれいに出ないのだが、しかも苦手な2ポジ!そこからD線、A線に移弦するときに一瞬肘の移動が遅れて他の弦をかすってしまったり、アタックが弱くなってしまったり。そして、3ポジに移動した時のFの音が大概へろへろになっちゃうのは泣けてくる。

3.ポジ移動と音程


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中間部にこの曲の中でもっとも美しいフレーズが。美しく歌いたいものである・・・。がしかし、最初のAsが1の指なのが難しいっ。この音は少し低めに取った方が美しいのだが、そう思うと低めにとりすぎちゃったりとか、打率3割5分といったところだ。せめて2とか3の指だったら、他の指をたよりにうまくとれるんだけどなあ・・・。(T.T) また、E線の最高音のEsもきれいに鳴らせないのである。力はいると「げええ〜〜っ」って音しちゃって。とほほ。

4.ややこしい弓使い


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ここのところは最後のヤマ。こういうややこしい弓使いは大の苦手である。どうせならスラーは全部二つずつにしてほしいもんだ。弓の動きで大わらわなので、クレッシェンドとかアクセントなんか考えてられないぞ〜。(しかし先生からは、「せめて1音目のアクセントだけはつけましょう〜」とたしなめられました。)

以上のツボを部分練習しつつ臨んだリハーサル。2度目だし、もうそんなに緊張することもあるまい・・・と思っていたのだが、なんと結果はボロボロであった。(^^;)弓ビブラートこそかからなかったんだが、力入りすぎで音がギコギコ。テンポも出だしで間違えてかなり遅く弾いちゃった。音程はまあまあかと思っていたが、家に帰って録音を聴いてみたら左手も固まってて全然だめ。嗚呼。歴史は繰り返すという言葉がkeroの脳裏に浮かんでは消えていく。

リハーサルの次の日がレッスンだったのだが、一通り通して弾くと先生、「昨日は今の半分も音量が出ていませんでしたねえ〜〜」と一言。ひええ〜〜!「左手も右手も力が入りすぎて、かえって楽器が鳴ってなかったんです!」わわわ、そんなもんですかあ〜〜。「もう、絶対に弾けますから心配しなくても大丈夫です!とにかく力を抜いて、リラックス〜〜」

あああ、本当にバイオリンって難しい!でも、この先生の言葉で「どうせ失敗したところで今の実力だし。仕方ないか〜」と少しあきらめにも似た悟り(爆)がkeroに生まれたのである。細かい所は家でも弾けないんだから、会場でちょっとくらい失敗したって当たり前だ。それより、もっと曲の全体感とか、雰囲気を大切に弾こう。

keroは本番に向けて再び、次のような対策を考えた。この一年、インターネットやメールなどで経験のある方から教わった事がたくさん役に立つ。

●テンポだけは決めたテンポで弾けるように、最初のフレーズを頭の中で一回歌う。そのため、MIDIファイルなどで最初のフレーズ2小節のあとにメトロノーム2小節分を入れた練習用ファイルを作って、いつも練習する時これを使う。本番の時も、弾く前にこの4小節を頭で歌う。→こんなかんじです。
●弓が震えそうになったら、なるべく手元を見ないようにする。なるべく呼吸を深くする。(特に吐く息を。)
●曲調が少しゆったりになった時などに、肩に力がはいっていないか、肩が上がってないかチェックを入れる。

こうして来た本番の日。7月21日、西区公会堂はライトがやたらに暑い舞台だった。

相変わらず緊張はしたが、なんとか上記の対策を守りつつテンポ通りに落ちずに弾けたので一応kero、今回は大満足・・・というほどではないので、小満足。少なくともリハーサルの時よりはマシだったのでほっといたしました。(^^;)

途中変なところで弓が跳ね始めたので、はっと気づいて肩の力を抜いたらとたんに弾きやすくなったり。弓がぶるぶるしそうになったので、焦って目をつぶって弾いたり、「はあ〜〜」と息を吐いたりと、上のチェックポイントを一応実行できたのは良かった点だ。まあ、家に帰って冷静に録音を聴いたら下手くそだったけど、これは自分の今の実力だから仕方なしとして。(爆)

それにしても、「はたして自分、舞台慣れすることがあるのだろうか」という当初の疑問。結論は・・・・

●1年にいっぺんくらいじゃ舞台慣れは絶対無理だ。
●でも、経験と学習によって、少しは演奏を良くすることもできるようだ。