続・バイオリン弾きへの長い道

2001.06.01 2003.09.11re-update

さて、希望と不安を胸にご近所のバイオリン教室に向かったkero。 そこで目にしたものは・・・・・・・

小学校二年生位の女の子が、すらすらとビバルディの何とかコンチェルトを弾きまくっている姿であった・・・。

「いいなあ、こんな曲、私も何年したら弾けるようになるのかなあ〜」と、その時は事態を全然理解せず、うっとり聞き惚れているkero。女の子のレッスンの後、先生と2人でこれからのレッスンについて相談などする。

楽器は先生のコネで市場価格より安く手にはいるらしい。また、「全くバイオリンで音出しの出来ない」わたしkeroが自分で楽器を選べるはずがないので、先生にお任せできるのは大変ありがたいことである。ついに「本物のバイオリン」購入!あまりに事がスムーズに運んだので、嬉しいやら、自分でもびっくりするやら・・・。私の脳裏には、弓を華麗にあやつって、ばいおりんを弾きまくる自分の姿がかすかに浮かんだのだ。むふふふ。思わず口に含み笑いがもれる・・・。

そして先生はにっこり笑っておっしゃった。「大人の方でも練習次第で上手くなりますよ〜。では、次回のレッスンまでに、鈴木バイオリン教本の第一巻の最初の曲、『キラキラ星』を見てきてくださいね!」

ぐわ〜〜〜ん!!

私の頭の中で、エコーが鳴り響いた・・・・・「きらきらぼし、きらきらぼし、きらきらぼしい〜〜」

そうなのである、こんないい歳をしたkeroはとにかくキラキラ星を弾かなきゃならないんだ〜〜!それに、良く考えてみると、さっきの小学校二年生くらいの女の子がビバルディーのコンチェルトを弾いているすぐあとで、大の大人の私がキラキラ星だぞお〜〜。ああ、なんて屈辱的な・・・・

し、しかし、文句は言うまい!下手でも習おう、と一度決心したのだから、私のバイオリンが美しく甘く歌ってくれるまではけして弱音ははいてはならんのじゃ!

さて、一大決心をして始めたバイオリンは、こうして月に3回のレッスンを受けることから始まった。

ビバルディーのコンチェルトを弾きまくる女の子のあとに、「キラキラ星」とか「ちょうちょ」(あ、あなた笑いましたね〜。しかし、本当なんです)そして「こぎつね」とか。いい歳をしたオバサンの弾く曲かあ〜〜!?しかし、それでも最初は「キラキラ星」というより「ぎらぎら星」とか「ぎょろぎょろ星」といったような音しか出なかったので、結構真剣に練習してました、ハイ。練習するときは外に音が漏れないように、雨戸をぴったり閉めて弾いてたのは言うまでもないことであるが・・・。

・・・しかし、レッスンを受けていると時の経つのが早い。その後童謡を卒業、教本も進み、「ナントカの協奏曲」などという大層な曲をレッスン出来るようになるまでは、結構あっという間だったように感じられる。

めでたし、めでたしである。しかし、教本の進捗度とかレッスンしている曲の難易度って、バイオリンの場合あんまり実力と関係ないなあ〜〜ということも、最近ではわかりかけてきた。

バイオリンは、「弾ける」という言葉があまりにもあいまいな楽器である。一応音程が取れて音が出てれば弾けたというのか、ちゃんと「音楽として」表現出来れば弾けたというのか。その辺がヒジョーに難しい楽器なのだ。なにせ、音をきれいに出すことがとても難しい楽器なので、初学者のサマにならなさは楽器の中でもぴか一。ぎこぎこ弾いても「弾ける」、美しくビブラートをかけたツヤのある音で弾いても「弾ける」と言うのだから、「弾ける」というのはなんと曖昧な言葉であることか・・・。

私が「この曲は習ったことがある」と言ったらば、あなたはきっと「じゃあ、聴かせて!」と言うであろう。しかし、はっきり言って、人に聴かせて説得力を持つに到るまでには、さらに教則本を1巻、2巻と進んだ後に、余裕を持って演奏できるようにしなくてはだめなのだ。この辺はピアノよりももっともっとシビア。ピアノならば、テンポ通り、タッチミスなしで鍵盤をたたけば、いちおう「音楽らしく」聞えるからなあ。

いまだに「ツヤのある美しい音で」は、何にも弾けないわたし。嗚呼。なわけで、バイオリンを習い始めて数年たった今でもなお、「キラキラ星」から抜け出ることが出来ないkeroなのでありました。