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版画HANGA百科事典

リトグラフ

アルミ版のリトグラフ

ここでは、現在最も多く使われている「アルミ版を使ったリトグラフ」について細かく説明していきます。
一言でアルミ版と言っても、色々な種類があり、 使われるアルミ版ごとに、技法や表現も微妙に変わってくるのです。

アルミ版を、
(普通の)アルミ版PS版 の二つに分けて説明していきます。

アルミ版

アルミ版とは薄いアルミ版に砂目加工したものです。
現在1番ポピュラーなリトグラフ用版材料です。

■じかにアルミ版に描くリトグラフ

砂目を立ててあるアルミ版に、直接クレヨン、解墨、ダーマトグラフなどの油性の性質の描画材料で描画する方法です。

■転写法(コロンペーパー)

コロンペーパーというのは紙に薄く糊が塗ってあるものです。

この紙に、油性のもので描画し、版に描画面を密着させ、プレス機で軽くプレスします。

その後、アルミ版に貼り付いたコロンペーパーの上から、スポンジで水を引き、再びプレス。

これを何回か繰り返したあと、紙をはがすと、描画した絵柄がアルミ版に転写される・・・・ という技法です。

■水無し平版

これは、今まで説明してきたリトグラフ=「水と油の反発を利用して作る版画」とは違います。

アルミ版に水性の描画材料で描き、シリコンを薄く塗って乾かした後、描画部分をアセトン溶剤で抜き取ります。

アセトンはシリコンを溶かさずに水性の描画部分のみ溶かします。

シリコンは油性インクと反発する性質があるので、ここからは普通のリトグラフと同じく、ローラーでインクを盛って刷るのですが、今までのリトグラフと違う所は、スポンジで水を引きながらインクをのせなくても良い事です。

それで、「Waterless LIthography」水無し平版というわけです。

スポンジでの水引をしなくてもいいので刷りの手間は楽になりますが、シリコンを均一に塗るのが難しく、また使用できるインクに制限があります。

PS版

アルミ版に感光乳剤を塗ってあるものです。

非常に細かい砂目のアルミ版に「陽極酸化処理」という、版に強固な酸化被膜を形成し、強い親水性を帯びるようにしてあるPS版と、

砂目PS版(リト用PS版)といって砂目を立てたアルミ版に感光乳剤を塗ったものがあります。

PS版にはネガ用とポジ用があります。

■焼付法

PS版での製版方法は、技法は「焼付法」になります。

焼付法は、「焼付機」という、紫外線で露光する機械を使って、半透明なフィルムなどに黒で描いた絵をPS版に感光させます。

フィルムに描く材料は、アニメックス、ロットリング、Gペン、クレヨンなど、光を通さないものならなんでもOK。水性の材料でも大丈夫です。

感光したPS版は、現像液に入れて現像し、アラビアゴムを塗ります。

すると、ポジPS版の場合は、黒で描いたところ(感光しなかった部分)は親油性になり、感光した部分は親水性になります。

ネガPS版では、その逆になります。

あとは、普通のリトグラフの工程と一緒。

焼付法の特徴としては、次のようなものがあります。

直描きの版よりも解墨などのハーフトーンの調子がつぶれにくい。

多枚数を刷るのに適している。もし、刷りの途中でトラブルがあっても、元の描画はフィルム上なので、焼付し直せば同じ版ができる。

半透明なフィルムに描くので、色版などを作るときに、版同士を重ねればトレースの必要がない。

フィルムをコラージュしたり、描き直しも容易で大変自由度の高い技法です。