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版画HANGA百科事典

銅版画

刷ってみよう!
D-1.多版多色刷り

さて、いよいよ多版多色刷り=複数の版を刷り重ねる方法です!!

1版多色刷りの項目でも書きましたが、銅版画は1枚を製版するのがとっても大変。
また、後述しますが、どうしても「見当合わせ」もやっかいです。

ですから、初めての方はいきなり沢山の版を使おうとせず、まず、決定的な墨版を中心に考えて、それに合わせて1版か2版位で色版を作っていくのが良いと思います。

「多版多色刷り」のいろいろなやり方

■すべての版を銅版でつくる
asakura3.jpg
朝倉めぐみ
「Aはapple pieのA」
2版3色刷り。
色版はオレンジの色と文字の赤い色を
詰め分けして刷っている。
triangl.gifこの作家の作品を
もっと見る!



中込洋子「旅の記憶6」
3版4色刷り。
triangl.gifこの作品の全体を見る!

銅版を使用する版数に合わせて用意し、色面などはアクアチントなどを使用して制作します。

刷るときには、たいがい、まず色版から刷りはじめ、見当に合わせて最後に墨版(主版)を刷ります。薄い色から濃い色へ、というのが原則です。

見当合わせはいろいろな方法がありますが、一番簡単なのは銅版のプレートマークに見当の印をつけておいて、色版を刷ったとき紙を完全にプレスのローラーから外さずはさんだままにしておいて、紙をめくり、銅版を主版に交換して刷り重ねる方法です。

見当合わせの詳しい方法は見当の付け方のページを参照して下さい。

■墨版(主版)だけ銅版で制作して、色版は他の版種で制作

中込洋子
「白い大地と火の祭」
墨版は銅版で制作。
色版は塩ビ板の
コラグラフ2版刷り。

triangl.gifこの作品の全体を見る!<

石の花、石の街
中込洋子
「石の花、石の街」
同じく色版は
コラグラフを使用。
triangl.gifこの作品の全体を見る!

絵柄によってはこの方法の方が自由に色を使えて良いと思います。

版画の場合、色版では思ったほどマチエールの効果などは目立たなく、最後に刷る墨版(主版)が色も濃いため一番インパクトがあるものなのです。

色版はあくまで色面をサポート、墨版(主版)で銅版らしいマチエールを演出・・・・というのがこのやり方です。

もちろん、色版でも銅版ならではのマチエールを使いたい!という方は、すべて銅版で制作したほうが良いでしょう。

色版を他の版種(水性木版など)で制作した場合は、銅版プレスで一気に刷るわけにはいきませんから、木版を刷るときの見当、銅版を刷るときの見当を別々につけておく必要性があります。

たとえば、バレンで木版を刷る時は木版用の見当板を使い、銅版を刷るときは銅版用に、紙の中心に見当を打っておく・・・・てなやり方になります。

色版のつくりかた

■まず、墨版を元に、どのような色版が作りたいか考えてみましょう。

ここでは、下の朝倉めぐみさんの作品を例にして、説明をしてみます。

■墨版を完成させる
ganpi1.gif

これが完成した墨版。一度この段階で試し刷りをするといいでしょう。

■色版のプランをたてる
asakura1.jpg

それに、このように色を付けたい!とします。

■製版
tahanzuri1.jpg

色版はこのような感じで制作すれば良いわけです. もし、銅版で色版も作るのなら、こういう色面の表現は何の技法を使えば良いでしょうか。

そう、アクアチントを使えば良いですね〜!ルーレットを使って目立てする方法もあります。

■色の変更

版画の場合、色は刷るときにインクの色で表現するわけですから、色版完成後に、やっぱりビンの部分は緑がいい!青がいい!などと変更することも自由です。

この例のように、色面の各パーツが離れている場合は、詰め分けして刷るのも簡単です。

ビンの色は、紫、太陽の色は黄色・・・・などと好きな色を使っていろいろ刷ってみることができるわけです。

■色の重ね方

さて、色版の作り方はなんとなくわかっていただけたと思うのですが、問題は墨版(主版)と色版を刷り重ねたときにぴったり同じ位置に収まるか、という事です。

次のページには、具体的に多版刷りを刷るときに大切な見当の付け方を解説します。