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版画HANGA百科事典

銅版画

エッチング
D.ディープエッチング

腐蝕銅版画での小技集、第2弾です!

銅版画は腐蝕液を使うことによって、
筆で描いたちょっとしたタッチなどで、あたかも彫金のような深い凹凸を作る事が出来ます。
この「ディープエッチング」の技法も実はとっても簡単なのですが、
銅版ならではの金属の層を感じることができて、いろいろ応用の効く技法です。
DSCF2842.jpg
銅版に黒ニスで市松模様を描き、ディープエッチングした版。

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その版に、グランドを塗ってエッチングで描画。試し刷りしたもの。
この作例は永沼版画アトリエの受講生の方の作品を使わせていただきました。

ディープエッチングって?

■ディープエッチングの原理
deepetching.gif

ディープエッチングとは、普通のエッチングやアクアチントのように、版に凹凸のざらざら面を付ける事によって黒い調子をだそうというのではなくて、ただ単に「ざーっと」深く、広い面積を腐蝕して彫ってしまおう!という技法です。

腐蝕された面は、最初の銅版の面より1段深く彫り下げられます。

そこにインクをつめると、エッジの部分は深さに応じてインクがひっかかります。

また、ざーっと真平らに彫り下げられた部分は、アクアチントが軽くかけられたような薄いグレーの油膜がつきます。

これは、銅を彫り下げると銅の繊維(?)のような筋が少し出てくるため、最初の銅版の面よりもすこしグレーっぽくなるのです。

銅の腐蝕の深さに合わせて、刷りとる紙の方も刻印されへっこみますから、この技法はかなりインパクトのある強い調子になります。

ディープエッチングを使うと、ちょっと写真で言うソラリゼーションのような効果を出すことができます。

やってみよう!ディープエッチング

■黒ニスで自由に描画する
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黒ニスで自由に描画

さて、実はディープエッチングはとっても簡単!

彫り下げたくないところを黒にすやグランドなどで止めます。

そして・・・

あとは腐蝕液に突っ込む!!

たったこれだけ。(笑)

ただし、ディープエッチングはエッジの所を深くするためには、だいぶ長時間腐蝕液に浸けておかなくてはいけません。何分、というより何時間、ていう感覚です。

ただし、彫りすぎた時には、もう取り返しがつきません。うっかり忘れて一日浸けて、銅版に裏まで穴が開いちゃったということも良くあることですから・・・

自分の作品で、どのような効果が出したいのか、どの場所にどのくらいの深さが適切なのか、よ〜〜く考えてから行ないましょう。

■応用編

・・・・などなど、いろ〜〜んなやり方が考えられると思います。

また、このディープエッチングを利用した1版多色刷り・ヘイター法というのも有名です。

ヘイター法については、刷ってみよう!C.1版多色刷りを参照してくださいね〜

deepetching2.jpg
中込洋子
種子の装置(部分)
下のふわふわした形は、黒ニスで描画して、
あらかじめディープエッチングしておいた上から
普通のエッチングで描画。
ディープエッチングの時に
荒く潰した松やにを手でばらばら撒いてあるのが、
上の丸い白い点々。
この作品の全体を見る!
kumabe2.jpg
隈部滋子
A Night Sovereign,Luna-3-月を往く
この作家の作品をもっと見る!
長時間腐蝕したディープエッチングの上に
濃いアクアチントをかけて、
削ったり磨いたりして
複雑な調子を出している作品。